TOCfEのADVENT…ろうそくの物語

©キャシー・スエルケン

(転載者注)本記事は「TOCfE Advent Calendar 2015」の25日目の記事として書かれたオリジナル記事の飛田さん&柴田あっちゃん & その他有志による翻訳です。

「待降節(advent)」の季節はキリスト教的な意味もあります。けれど、「出現(advent)」という言葉は、何か素晴らしいものが来たんだ、とか、始まろうとしているんだ、と感じさせるものです。

そうして、いつも思い出されるメッセージがあります。わたしのTOCfEの旅の始まりを予兆していたメッセージです。

それは13歳の生徒が書いたメッセージでした。

最後の一文にはこのように記されていました。「この先ずっと続く長い旅路に光をくれて、ありがとう。」

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1993年2月のバレンタインデーに、ニコルはこのメッセージを学校のわたしの机の上に残していったのでした。エリ・ゴールドラットという男性に会うためにミシガン州デトロイトへと向かおうとするまさに数日前のことでした。

ニコルのメッセージは不可解でした。一体、何がこう書かせたのでしょう?

何がこの言葉を書かせたのか、わたしにはわかりませんでした。けれど、このメッセージを確かに受け取りました、と返事しなければならない、そんな確信はありました。

というわけで、そのメッセージの意味するところを正しく伝えるものを探して、山ほどの名言集の中をわたしは探し回りました。

こうして、エリとジョナ(訳者注:”TOC思考プロセスの認定を受けた人たちのこと”)達との初めての出会いを経験する中で、このEdith Whartonの名言がわたしの記憶と魂に刻みこまれたわけです。

1992年のクリスマス25日まであと数日というアドベントカレンダーの時にエリからかかってきた一本の電話が、わたしのジョナ・カンファレンスへの旅の始まりでした。

その年の初めごろ、わたしは感謝の手紙をエリに送っていました。その手紙で、わたしは自分がどのように『ザ・ゴール』の本にあったコンセプトを生徒たちに使ったかを伝えました。

その手紙がジョナ・セミナーへの奨学金に化けたわけです。

身に着けたばかりのジョナの知識を中学生相手にどのように使ったかについて、300人の経営者に向かってプレゼンしてください、と依頼された時には、わたしにはそんなことをやる自信はまったくなく、不安そのものでした!

しかし、そのイベントの直前にニコルからもらったメッセージが、わたしに勇気とインスピレーションを与えてくれたのでした。

そしてまた、「失敗するのが怖い」ということに対する中間目標が、「このプレゼンは自分のことを話すプレゼンではないことを思い出すこと」だと気づくとホッとできました。

わたしはただのメッセンジャーに過ぎませんでした。カンファレンス参加者へのメッセージに集中する必要がありました。そのメッセージとは、子供達がどれほど学びを渇望しているか、そして、良心からの行動には良心でこそ応じようとするその熱心さがどれほどのものか、ということでした。

プレゼンテーションには、この素晴らしい事実を伝える完璧な事例がありました。それは、最近あった、子供たちへの授業の話でした。TOCという贈り物をすべての子供たちに何とかして贈り届ようとした、素晴らしい人物が持っていた優しさを説明しようとする授業でした。

『ザ・ゴール』を読んでからいうもの、授業スタイルによりソクラテス式な方法を取り入れるべきだと自覚するようになり、わたしは生徒たちへ質問することで授業を始めました。「誰かがあなたのことを信じているのだと納得できるとしたら、一体どうやって分かるのでしょうか?」

生徒たちは考えて次のような答えをしました:

「その誰かが、信じていると言ってくれている」
「その誰かが、実際に信じてくれている」
「その誰かが、成長の手助けをしてくれている」

一言一句違えずにその返事をスライドに書き写し、それを持って、ジョナ・カンファレンスの聴衆に見せました。11歳12歳の子ども達の誰も、「アメとかお菓子とかちょうだい」などと言わなかったことも付け加えておきます。深い確信とともにわたしは言いました。「なぜならば、人生においてかけがえのないものというのは物質的なものではないということを、この子たちは直感的に知っているからです。そのかわりに、子どもたちは、価値あることのリストをくれたのです。」

その瞬間、私は、聴衆と共に子ども達から学んでいました…

子ども達は実例で私たちに教えてくれました…子ども達こそが指導者でした!

聴衆は夢中で聞き入っていました。イベントを通してのその反響は圧倒的でした。

大勢の人がわたしのところに来て、「TOCが子供たちに適用できるとは夢にも思わなかった。このカンファレンスの期間、ビジネスの問題に取り組む代わりに、自分の学校のシステムに対してTOCを適用することに取り組みたい」と言いました。

子供たちのところに戻るために、わたしはイベント途中で帰らないとならなかったのですが、人間の本質に関する共生の学習曲線について自分の考えを述べる必要を強く感じました。エリの許可を得て、わたしは次の言葉を述べました。それはニコルへの返事の中で引用したものです。

「学校のビジョンについて、市民団体に対してわたしはスピーチをずっとしてきましたが、そこから私が学んできたのは、ビジョンは山の頂上からの眺めではない、ということです。そうではなく、ビジョンとは旅をする過程で学ぶものなのです。これこそが、あなたから学んだことです。Edith Whartonによると「光を照らすには二つの方法がある。ろうそくになるか、それを映す鏡になるか」。ですから、もし、今この瞬間にわたしが鏡を持つならば、結果として、あなたは自分がろうそくを持っていることに気がつくでしょう。」

ナイスビルに戻って2日後、わたしは校長室の外に座っていました。Goldratt Instuituteが私たちの学区のために特別なジョナプログラムを寄付することを決めたというニュースを共有するためでした。

控室で待っていたとき、午前8時の早朝の打ち合わせに急いだために、ドレスの一番上のボタンを留めていなかったことに気がつきました。

ボタンを止めなおそうとしたその時、ふと上を見上げてみると、天井照明の修理をしていた作業員がすぐそばでわたしをはしごから見下ろしているのが見えました。

わたしは恥ずかしくなって立ち上がり、部屋を出て、長い廊下の方へと向かいました。なるべく人目につかないところを探して、建物にいる人から見えないように数歩退きました。

ボタンを直し終えて、わたしは真正面の壁を見上げました。思っていたのとは違って、そこは建物の誰からでも見える場所でした。どうやらわたしの認識はまったく見当違いだったようでした。

そこでわたしが目にしたものはとても象徴的で意義深いものでした。もしボタンのことがなかったら、この訪問の最中にこの場所に移動してきて、それを目にすることはありえなかったでしょう。これは神様がくれた巡り合わせというものでしょうか?あるいはこれこそ、エリがいつも電話で言っていた「シンプルさを探求しなさい」ということなのでしょうか?

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わたしは美術コンテストにエントリーしていた9歳の生徒の絵を見つめていました。

ろうそくを映す鏡の前に立てられたろうそくが描かれた絵でした。その2日前にエリとジョナ達に話していた言葉をそのまま視覚的に表したものでした。

もちろんわたしはその絵を見て衝撃を受け、呆然としました。校長室に戻りながら、絵の場所を伝えなければならない、そうしたら校長先生もこの重要性を経験するだろう、と考えていました。

校長先生はその通り衝撃を受けて重要性をわかって、女の子の両親に電話をして連絡をとらせてもらえるようにお願いしましょう、と言いました。

そのおかげで、Rheaがどうしてその絵を描いたのか聞くことが出来ました。その答えはこうでした。「うちのリビングには小さいテーブルがあって、そこにはろうそくがおいてあるの。それで、もし鏡の前においてみたらどんな感じかな、って思ったの。鏡に写ったろうそくがどんなふうに見えるか想像しなければならなかったのよ」

RheaとはWin-Winの取り決めをしました(^^) その絵はそれからずっと、素晴らしい「始まり」の象徴としてTOCfE本部のリビングの目立つところに掛けられています。いろいろな国からのTOCfEの訪問客がこれを目にしてきました。

わたしにとってはそれは、「わたしたちの旅」となった旅の始まりを象徴しています。なぜならば、あなたこそが今、誰かのために道を照らしているのです。

より良い世界に続く、終わりのない旅の道すじを。

キャシー・スエルケン
フロリダ州ナイスビル
2015年12月25日

The Chest of Secrets

The Chest of Secrets

このエントリーは、TOCfE Advent Calendar 2015の11日目の記事です。
昨日のエントリーは、中一日を挟んで2度めの登場!たのっちさんによる“「問題」を「前提」にしてしまえ!”のお話でした。

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こんにちはTOCfE調布塾の伊藤です(実は調布塾には伊藤が二人いますが、私は塾長では無い方の伊藤です)。

突然ですが、ここで質問です。

あなたはいくつくらいの時にTOCfEを学びたかったですか?
また、ご自分にお子さんがいらっしゃるならば、いくつくらいから学ばせるのが良いと思いますか?

「大人になってから?」
私も五十を過ぎて学び始めましたが、この歳まで知らなかったことが悔やまれてなりません。

「大学生くらいには。。。」
そうですね。せめて社会にでる前に学んでおきたかったように思います。

「中高生!」
論理的思考力が伸びてくるこの時期に学んでおくと、勉強がもっとできていたかもしれません。

「小学校からでも早すぎないんじゃない?」
“ひとのせいにしない”問題解決の方法を知っている子どもたちが増えれば、いじめの問題なんかも無くなりそうですね。

しかし、もっと小さい頃から学んでおけば、きっと人生そのものが変わっていたかもしれない、と考えたことはありませんか?

TOCの思考プロセスで問題解決するための心構えに、
1.人はもともと善良である
2.物事はそもそもシンプルである
3.すべての対立はWin-Winで解消できる
4.わかっているとは決して言わない
と言う”4つの信念”があります。

01 4つの信念

これは思考停止すること無く徹底的にWin-Winの解決策を考え抜くためのマインドセットですが、現実の世の中はなかなか厳しく、実際にWin-Winで対立を解消する経験が乏しいまま大人になってしまうと、理屈としては理解できても“信念”として腹に落とすのは結構難しいように思います。

人生のスタート時点から3つのツールに親しみ、多くの成功体験を積みながら自然に”4つの信念”を育むことができたら、きっとゴールドラット博士の言う「充実した人生」を送ることができるにちがいない、と思われてなりません。

とは言え、実際の3つのツールは幼い子供が最初に接するものとしてはいかがでしょう。

自分が幼児の時にこれを見たとして、また、就学前のお子さんにこれで教えようとした時に興味を持ってくれると思いますか?

02 素の3つのツール

最近ではかわいいうさぎやキリギリスのイラストの載った本もありますが、それでも幼い子供の興味を引くにはまだ足りないような気がします。

そこで「The Chest of Secrets」の登場です。

教材いろいろ

「The Chest of Secrets」はポーランドのマチェック・ウィニアレック氏が考案し、実際に彼の地の幼稚園や小学校で実践されている、TOCfEの3つのツールを子どもたちが学ぶための教材です。

内容は、ユルカという女の子とその友達が色々な問題に直面する5つのストーリーで構成されていて、それぞれのストーリーの中でTOCfEの3つのツールを学べるようになっています。

4歳から7歳くらいまでを対象に、1つのツールについて3日間位のワークを行うため、5ストーリー×3ツール×3日で最短でも45日。実際は子どもの成長に合わせて数年かけて学ぶそうです。

「The Chest of Secrets」の特徴の一つは、幼児の興味をうながすような、見ていて楽しいツールが用意されていることです。

もちろん、字を知らなくたって大丈夫。

まだ感情が未分化な子どもたちのためにエモティコンと言う気持ちを表す顔文字を使ったり、塗り絵をしたりしながら楽しくワークを行います。

エモティコンと塗り絵

体を使ってツールを学ぶことも「The Chest of Secrets」の特徴です。

ブランチやクラウドの絵が描かれたシートの上に実際に立って、対立する相手と押し合ってみたり、実際に障害の上を一歩一歩あるいてみたりと、3つのツールを体で覚える工夫がされています。

06 体を使って遊ぶ

ポーランドより初来日されたマチェック氏によるワークショップとTOCシンポジウムの講演があったのは2014年の2月のことでした。

当時、保育園の先生を中心にTOCfEツールの使い方の勉強会を開いていたTOCfE調布塾では、塾長の伊藤孝一さんをはじめとして数人のメンバーが参加し、
「これは「ちゃんと考えることを“体得”した大人」になるためのツールに違いない。TOCfEの3つのツールを体で楽しみながら学ぶことをぜひ日本の子どもたちにも伝えたい!!」
と強く感じました。

そこで塾では「日本版の「The Chest of Secrets」をつくる」と言う目標を掲げ、現在、5つの物語の中の最初の「虫めがね」を題材に活動を進めています。

英語の教材の日本語化から大人によるトライアルを得て、塾メンバーの保育園で最初のワークにこぎつけたのがその年の末のこと。

今年2月の京都の”TOCシンポジウム”では、その時に行った年少クラスと年中クラスのブランチのワークの様子を紹介しました。

ブランチのワークの目的は、モノゴトはいきなり降って湧いたように悪い結果が生じるのではなく、その前に修正できる機会がたくさんある事を子どもたちに体得してもらうことです。

題材である「虫めがね」は、ユルカの友達クバが、お姉ちゃんから黙って借りた虫めがねを学校の友達に見せびらかしているうちに落として割ってしまって怒られるまでの5つのシーンが連続するカンタンな物語。

04 ユルカとクバ

最初にそのお話を聞いた時には4番目の虫めがねの割れたシーンばかりを口々に発表していた子どもたちが、3日間のワークを通して、虫めがねが割れる前にいくつものステップがあることを理解していく姿が印象的でした。

あれから一年。TOCfE調布塾ではただいま年中クラスの子どもたちに対してクラウドのトライアルを実施する準備を進めています。

このクラスは、昨年ブランチのワークを実施した年少クラスがそのまま持ち上がったもので、今年になって新しいお友達も入ってきたのでもう一度ブランチを復習した上でクラウドのワークを行います。

協力していただく保育園の先生は、「ちょうど子供たちの間でケンカが盛んになる年頃なので、クラウドの反応がとても楽しみ」と期待してくださっています。

2014年の来日講演の際、マチェック氏は「The Chest of Secrets」を学んで育った子どもたちのその後について印象深いエピソードを紹介されていました。

「小学校に上がった子どもたちが学校の行事でスケートリンクに行った時、みんなで滑っているうちにリンクの真ん中で二人の子どもたちが喧嘩を始めました。それを見た教師が近くまで滑っていって「あなたたち、どうすれば良いか分かっているよね」と声をかけてまた離れて行きました。すると、子どもたちは言い争いをやめ、おもむろに互いに向きあって立って何かを言い、一歩横にずれてまた何かを言い、そして何事もなかったかのように分かれていきました」

きっと彼らの足元には彼らにしか見えないクラウドのシートが敷かれていて、それをなぞりながら話し合いをしていたのではないかと思います。

08クラウドで話す

こんな風に保育園児たちが園庭にクラウドの絵を描き出したら。。。今からとてもワクワクしています。

TOCfE調布塾ではさらにワークを行う保育園や幼稚園を拡大して行く予定で、只今、ワークに協力していただけるところを募集中です。また、ワークをやってくれる仲間も募集しています。

英語の翻訳から教材作り(これが意外と難しい。“行動”、“要望”では幼稚園児には分かりません。だれか幼稚園児にも口ずさみやすい、可愛くてわかりやすい言い回しがあったら是非教えてください)。

残るATTそして他のお話のトライアルなどまだまだたくさんやることがありますので、多くの方に参加していただけると嬉しいです。

TOCfE調布塾の連絡先:
E-Mail:tocfe.chofu@gmail.com

みんなで、“ちゃんと考えることを体得した”子どもが(そして、それが長じて“ちゃんと考えることを体得した”大人が)たくさんいる日本を目指しましょう。

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最後に一つイベントのお知らせです。

もう明日(12日)のお話ですが、調布塾では、横浜塾の協賛を得て、TOCfE日本法人の理事で株式会社ジョイワークス代表取締役の吉田裕美子さんによるChest of Secretsチャリティーセミナーを開催します。

「強いチームを作るための Why-How-What」

既にイベントの申込みは完了していますが、若干名であれば当日飛び入り参加も大丈夫と言う事ですので、ご興味のある方は是非!

なお、セミナーの参加費は全額Chest of Secretsのローカライズ費用に充てられます。
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明日の TOCfE Advent Calendar 2015 12日目はEijiさんによる「目的と目標について」のお話です。乞うご期待!!

意見の対立を考えてみる

このエントリーは、TOCfE Advent Calendar 2015の6日目の記事です。
昨日のエントリーは、石村さんの”TOCfEのツールを使うとよさそうな会話”でした。

意見の対立を考えてみる

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TOCfEでとりあつかう3つのツールのうちの1つクラウドでは、意見の対立について考えることができます。

意見の対立について考えるメリットは、思わぬアイデアで対立を解消することができるかもしれないし、対立って苦しいので、それを構造的に考えられるだけでもかなり楽になったりします。

では、意見の対立とは何でしょうか。

対立の例を挙げてみます。

私はソフトウェア開発会社で働いているので、お客様から要求をうかがってシステムを作ることを日々やっていますが、作るシステムに対してお客様が「要求をなるべく多く詰め込む」ことを望まれることがあります。
最初から要求が多ければ、予算や期間も多くとって進めていけばよいのですが、予算や期間が決まった上で、要求がどんどん増えてくると、このときの私の反応としては、お客様の「要求をなるべく受け入れない」ように動かざるを得なくなります。

この対立についてTOCfEでのクラウド(対立解消図とも呼ばれる)を書いてみましょう。

「要求をなるべく多く詰め込む」や「要求をなるべく受け入れない」というのは、クラウドでは、「行動」と分類します。

action01.png

次に「行動」を起こしたいと思うトリガーを考えてみます。
クラウドでは「要望」と呼ばれています。

「要求をなるべく多く詰め込む」のは、「業務をなるべくシステム化することにより効率化したい」ためです。
一方、「要求をなるべく受け入れない」のは、(システム開発の)「納期・予算を守る」ためとしておきましょう。

それを図に書いてみます。want02.png

2つの「要望」について、クラウドでは「共通目標」というのを定義します。
この場合であれば、「業務をシステムによりうまくまわす」というのが共通目標でしょうか。

goal02.png

対立、すなわちジレンマが存在するときには、必ず共通の目標のような同じく目指すべきものが存在します。

私も最初、ここには違和感があったのですが、共通の目標がなければ、それぞれの行動を別に取ればよくそこでは対立は発生しません。
同じ目標に対して、両方の行動がこっちをたてるとあっちがたたずという状況に思えるからそこに対立があるように見えます。

ここで、実は対立しているのは「行動」であって「要望」は必ずしも対立していません。実世界の中の議論でも対立してしまうことはよくありますが、「要望」を見据えた行動について、喧喧諤諤と意見をかわしていますが、よく聞くと両者で実現したい共通の目標があるからこそ「要望」は実は対立していないということがあったりします。

相手がそのような行動を起こしている「前提」を考えてみます。下でオレンジ色の枠で囲っているのが前提になります。

assumption01.png

意見の対立が生じているとき、相手の意見はたいてい聞く気になれません。なぜなら、こちらの何かが脅かされていることが多いからです。

しかし、対立構造の相手の立場で考えてみて、なぜそのような行動を起こしたいと考えているのだろうという前提を考えてみると、相手の立場なりに納得できることがでてきたりします。

相手の立場に立って物事を考えてみるというのは、慣れないと難しいのですが、クラウドを書く場合にはそれが促されるのでそれだけでも対立構造の理解に役立ちます。相手の要望、行動を上に書くのも相手側の思惑をきちんと考えますよという思いが表れであったりもします。

対立の解消について

さて、ここが、クラウドの真骨頂なんですが、対立が生じているのは、お互いの前提・思い込みのためなのではないかと考え、対立の解消を考えます。相手側も誰かを困らせようとして、そのような行動を取っているわけでないのであれば、行動をする前提があるはずなのです。

この場合、相手側の前提を検討するのであれば、「本当になるべく多くの機能が実現された方が業務は効率化するんですか?」とか、「本当に予算内で多くの機能を実現した方が自分達にとって得なんですか?」とかを確認することになります。

自分側の前提を検討するのであれば、「本当に実現すべき要求が増えるほど開発費用、期間はかかるんですか?」、「本当に同じ予算ならば開発量を減らした方が自分達にとって得なんですか?」というのを確認することになります。

確認した上で前提が思い込みであれば、対立が解消できることもあります。例えば、「なるべく多くの機能を実現した方が業務を効率化できる」というのが思い込みであり、シンプルな機能の実現で重要な業務の効率化ができるのであれば、要求をしぼりこんで対立を解消することができます。

他にも、自分達の「要求が増えると開発期間や費用が増えて、システム開発予定が守れない」というのも思い込みで、必要な開発については交渉すれば予算・期間の交渉が可能かもしれません。

上記の例だと、そもそも相手側の「多くの業務をシステム化する」という要望も思い込みかもしれません。

長くなってしまいましたが、クラウドでは、このような対立構造を記述して、そこにある構造や思いを表現して、打開する策が無いかを考えることができます。

それだけなくても、対立を表現できるクラウドという記法を勉強することで、実世界で、どうしようもない対立(ジレンマ)に遭遇したときであっても「対立キターー!」クラウドで解消してやる〜と思うだけでも、心の余裕がかなり出る(これがこの記事で言いたかったこと)のでおすすめです。

対立を解消し霧散するためのよくあるパターンや、分析の方法などについては本やTOCfE Bootcamp などで説明されていますので、興味を持たれた方は是非、参照してみてください。

ちなみに、最近、私が一番気になっている対立は以下のものです。これの解決は大変難しそうだ〜〜。

ghost_cloud.png

 


おっと、上記で説明したTOCfEクラウドを含め他の2つのツールについても、TOCfEを日常の中でこんな風に使ったよ、というお話を聞けるイベントが12月19日(土)、秋葉原で開催されます。

【東京開催】日常系非日常TOCfE ~日常の中でちょこっとやってみたこと言う会~

クラウド含め興味を持っていただいた方が知るのにもってこいのイベントですね。

次のエントリ

明日の TOCfE Advent Calendar 2015 8日目は、公私ともに多忙そうで、パワフルなたのっちです。おたのしみに!

TOCfEのツールを使うとよさそうな会話

このエントリーは、TOCfE Advent Calendar 2015の6日目の記事です。
昨日のエントリーは、てらひで(@terahide27)さんの”【簡易版】算数の文章問題とバナナで考える問題解”でした。
今日は石村が担当させていただきます。

*TOCfEについて
私がTOCについて知ったのは、ザ・ゴールという本がきっかけでした。
ザ・ゴールは読んだし、各ツールを使ってみたい気持ちはあったけれど、
自分できっかけを作って始めるのはなかなか腰が重いもので、
本は読んだけれど活用されていないというよくある状態でした。
TOCfEはTOCのツールからエッセンスを抜き出したもので、
勉強会では座学のみではなくワークもあるということで、
実際に使ってみる機会として参加したのを覚えています。
私はまだ1回ずつ参加しただけのヒヨっ子なので、
ベテランの方々からすると理解が間違っていたり浅かったりもすると思いますが、
今回は私なりにTOCfEのツールを紹介してみたいと思います。

*本題
ひととおりTOCfEのツールを知ってみると、
人との会話の中で、気になるキーワードがでてきました。

「これが理想なんだけど、難しくてどこから手をつけていいかわからない」
「アレさえなければこんなことにはならなかった」
「あちらを立てればこちらが立たずで」
「だってああいうことされるとこっちは諦めるしかないじゃん」
「なんかできる気がしない」
「がんばってるつもりなんだけど変わらない」

私の周りではわりとよく聞くセリフなのですが、いかがでしょう。
上記はいずれも、TOCfEのツールを使ってみればいいんじゃないかしら、と思う会話です。
どのツールがどんなときに使えそうかというと、こんな感じです。

・ブランチ
「アレさえなければこんなことにはならなかった」
ブランチは、原因と結果に本当に因果関係があるのか?ほかの原因はないのか?
ということを考えるのに使えると思っています。
なぜ「こんなこと」になったのか、その原因は本当に「アレ」だったのか・・・
ブランチを作ってみて、できれば周りの人にも見てもらうと、
実は本当の原因は「アレ」じゃなかった。とか、
「アレ」を原因から取り除いても、最終的に「こんなこと」になってしまう。とか、
気付きが得られるかもしれません。
「アレ」に対処する前に一度ブランチを作ってみると良いかもしれません。

・クラウド
「あちらを立てればこちらが立たずで」
「だってああいうことされるとこっちは諦めるしかないじゃん」
クラウドは、ジレンマ、対立を解消したいときに、使えると思っています。
「あちら」を立てることも「こちら」を立てることもあきらめたくない。
「ああいうことされる」のはどうしてなのか?「諦め」なくてもお互いの目的は果たせるのではないか。
ほんとは両者とも同じ目的に向かおうとしていたのではないか。
ということを考えてみるツールだと思っています。
つい行動だけを見て良し悪しを判断してしまうかもしれませんが、
お互いの要望の先に共通目的があるなら、
その対立は解消できるかもしれません。

・ATT
「これが理想なんだけど、難しくてどこから手をつけていいかわからない」
「なんかできる気がしない」
「がんばってるつもりなんだけど変わらない」
ATT(アンビシャスターゲットツリー)は、
夢が今の自分から遠すぎてどこから手をつけてよいかわからなかったり、
思いついたことからやってみたけれどいっこうに目標を達成できない、
なんてときに使えると思っています。
目標を達成できていない理由(素直な言い訳なんかも含めて)を洗い出し、
それらを解消するための手段を考えていきます。
それから、その理由や言い訳、手段を順番に並べ替えて、目標にちゃんとつながりそうか確認していきます。
思いつきではない確かな1歩を踏み出すのに使ってみるとよいかもしれません。
ATTはブランチの作り方を知って因果関係の確かめ方を理解してからの方が、
より良いツリーが作れるように思うのですが、
私自身はATT→クラウド→ブランチの順で受講してしまったので、
またATTの勉強会に参加したいなと思っています。

*告知
TOCfEを日常の中でこんな風に使ったよ、というお話を聞けるイベントが
12月19日(土)、秋葉原の素敵な会場で開催されます。

【東京開催】日常系非日常TOCfE ~日常の中でちょこっとやってみたこと言う会~

「どんなときに使えばいいかよくわからない」「みんないつ使ってるの?」という方に、ぜひ!

*次のエントリー
明日の TOCfE Advent Calendar 2015 7日目は、エイジさんです。おたのしみに!

「幸せに暮らす」ために必要なこと

このエントリーは、TOCfE Advent Calendar 2015 の4日目の記事です。

昨日は、みっちょんこと、小路 慎浩さんの “私とTOCfEとの関わり -巻き込まれてナンボ-” でした。

バトンを小路さんから受け取った私、吉田裕美子 が本日は担当させて頂きます!(^^)

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私たちが、これから幸せに暮らして行くために、これまでより、一層意識して行かなければならないことは、どのようなことでしょうか。

仕事や学校での勉強、暮らし方・・・

1つ1つを考えてくと、「意識しなければならない事だらけ」で気がめいって来るかもしれません。

では、私たちの生活の中で、ここ数年で大きく変化し、これからもその変化が継続しそうなことに注目して考えてみるとしたらどうでしょう。

ものすごく当たり前のことかもしれませんが、私が感じている圧倒的な変化は、情報のやりとりが非常にすばやく、手軽に、広範囲に行うことができるようになり、その結果、ビジネスや様々な関わりの範囲も広がったということです。

ほんの数年前は、SNSなんて言葉がどういう意味か知っている人の方が少なかったのではないでしょうか?それが、今や70代の私の母でさえ、Facebookアカウントを持っている時代に変わりました。

この変化が、私たちの幸せに及ぼす影響、考慮しなければならないこととはどういうことなのか、少し考えてみたいと思います。

TOCfE

普段の生活に視点を動かしてみましょう。

私は、人財開発の小さな会社を経営していますが、家に帰れば、ごく普通のお母さんです。

夕飯の支度から、洗濯、掃除など、家事が家では待っています。

もう一方で、家を空けることが多い仕事なため、家族と夕食を一緒にとれるときは、少しはゆっくり話したいとも思います。自分が「ぐーたらを決め込みたい」という欲望も含めて・・(笑)

しかし、とても残念なことに、「1日の時間」は有限で、仕事から帰ってから寝るまでの時間は、さらにその一部にしか過ぎません。

家族と夕食後、ゆっくりおしゃべりしたり、ゆったりテレビを見たりしていると私はリラックスできますし、また家族とのコミュニケーションも取れてよい関係性が作れます。こんな「私の自由な時間」を満喫したい気持ちは、常に常に私の傍らにあり続けます。

でも、もう一方で、「私の自由な時間」が一定量確保されることで、「明日着る体操着が洗濯されてない」とか、「乾いた洗濯物がまだ畳まれていない」とか、そんな目の前の小さな、終わっていない家事の1ピースが、誰かの利便性に影響を及ぼします。

もちろん、この「家事の1ピース」を私が必ずやらなければならないわけでもありません。

家族の誰かが担ってくれればいいわけなのですが、その場合、家族の誰かの「自由な時間」を、その家事の1ピースに費やすことになります。

このことに関して、良い・悪いを言いたいのではありません。

つまり、こんなことが言えるのではないかと思うのです。私たちは、自分の自由を得るということを、誰かの自由に寄りかかりながら実現している・・と。

・・・

さて、以前、ある集まりで、哲学者の苫野一徳さんのお話しを伺うことができました。

この時、私が聞いた苫野さんのお話しは、おおよそこちらのTEDで語られている事と同じでした。

苫野さんのおっしゃる「自由の相互承認の原理」とは、上述のような事柄をうまくやりくりしながら生きていくために大切なことなのではないかと思うのです。

視点をまた、「私たちが将来に渡って幸せに生きて行くために、より一層意識しなければならないこと」に転じてみましょう。

私たちの暮らしは、以前に増して、より広範囲につながりながらなされるようになってきています。それは、どういうことか・・。自由の相互承認に基づいて考えれば、私たちが、より快適である、より暮らしやすい、より楽しい・・と感じる事は、すぐには思いつかないような遠く離れた人々の暮らしの中の些細な自由に影響を及ぼしている可能性が大きくなってきているということではないかと、私は考えています。

私には、現在14歳、中学2年生の息子がいます。

息子が生まれた時、こんなことを考えました。

私は、もちろん息子に将来幸せに暮らして欲しい。では、彼が一人幸せになる事と、彼が幸せな世の中で暮らすことと、どちらが彼にとって幸せなのだろうと問うてみると、答えは後者に違いないと。

で、あるならば、私たちがこれから将来に渡って幸せに生きていくために、より一層意識しなければならないことは、今まで以上に広い範囲で物事を捉えながら、自己と他者との自由を相互に承認する事ができる考え方ではないかと、私には思えてならないのです。

そうした考え方に、誰もが軸足をおいて物事を考えることで、私たちの選択する行動も、「幸せを作り出す」方向にチューニングされていくように思います。

・・・・

今回、このアドベントカレンダーで皆さんが紹介しているTOCfEというツールは、我々の日々の暮らしや仕事が、他者の自由に寄りかかってなされていることを認めながら、つまり、自由を相互に承認しながら、よりよい世の中を作って行くことが可能となる「考え方」を手に入れることができるツールです。

ツールに関する詳細は、是非、12/1にスタートした日々のブログをお読みいただければと思います。

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明日は、てらひでさん こと、寺嶋さん!!今年のTOCfE認定プログラムで、素敵な事例を発表して下さったのをすごーくはっきり覚えてます!エントリー、楽しみにしてまーす♪

私とTOCfEとの関わり -巻き込まれてナンボ-

このエントリーは、TOCfE Advent Calendar 2015 の3日目の記事です。
昨日のエントリーは、納富さんの”ツールの相性#TOCfE”でした。

昨日の納富さんのエントリーによると今年は私が大活躍の印象だった、とのこと。
それが本当かどうかはさておき、なんでこうなった?を振り返ってみようと思います。
自分のTOCfEとの関わりはどこから始まったのだろうと、因果関係でさかのぼってみると小学3年の時にその起点があったことに気付いたのでした。
(個人でのブランチの作成であることから、CLRは甘めで主観を多く含んでいること、いわばGood Enough重視であることをご容赦ください。個人で活用する際は、自分で納得できていることが私は重要だと思っている、ということです。)

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小学3年当時、C-C-Bというバンドが流行り、電子音で紡がれる音楽に衝撃を覚えました。
その延長となる中学時代にはTM Networkにハマり、貯金をはたいてシンセサイザーを購入しました。
しかしながら、幼少期に鍵盤類の習い事はしておらず、調の勉強なども一切することもなく、弾くとは言っても耳コピで遊ぶ程度で高校時代を終えました。

大学時代にはキーボードでバンドに加わるも音楽の勉強もしていなかったことから、アレンジもできず、もはやキーボードという楽器は、楽しさを感じられないものとなっていました。
そんな時、同じバンドのドラマーは女の子で、その子が叩くドラムの姿が非常にカッコよく見え、ドラムに転向するに至りました。

学外でのライブでの対バンで出演していたギタリストから、ドラムを叩く人間がいないから、と誘われて、バンドを組むことになり、就職後もその彼とは何回もライブを重ねる仲となりました。

大学卒業後、IT会社に就職し、製造業のお客様を担当する部門に配属となりました。
この頃に、先輩から製造業に関する面白い本があるということで、「ザ・ゴール」と出会ったのでした。

制約理論(Theory of Constraints:TOC)」の考え方も物語自体も非常に好きになり、本シリーズの新刊が出る度に購入して読みました。

就職してから10年ほど経った時に、プログラムの品質はどのように上げていけば良いのだろうかと悩んだ時期がありました。そこで自分と同様、IT会社に勤めていたバンドメンバー(例のギタリスト)に相談したところ、その彼は「てふかん」(ソフトウェアテスト技術者交流会(TEF)の関西在住ユーザーによる勉強会)の世話人を担当する新美 崇宏さんだったのでした。
そこから勉強会というものが世の中にあること、思った以上に同じ悩みを持った人が多いことを知り、当然ながら、その勉強会にも参加し、多くのシゲキを得ることができました。

ある日、新美さんに「TOC」という考え方がある、と話したところ、彼の会社の先輩こそが、TOC適塾を大阪で立ち上げた東 秀和さんだったのでした。そこからTOCの勉強会へ参加を繰り返し、様々な素晴らしい事例紹介を見るたびに心躍らせていたものでした。

しばらくして、思考プロセスが理解できなかった私は、TOCfEの日本上陸後、たけやん(竹中 正さん)の紹介ですぐにTOCfEに飛びつきました。
が、なかなか自ら使うということは少ないながらも、本当に困ったときにふと思い出して使った時には、見事に問題を解決でき、その実用性の高さに、今やどっぷり浸かるに至りました。

そこから関学でTOCfEトレーニングキャンパスを1年開催させて頂いたり、運よく2014年にシンポジウムに出させて頂いたのを皮切りに、今年のイベントに至ってはあれよあれよと冬、夏ともに、それぞれ取りまとめ役をさせて頂きました。

こうやって巻き込まれていくうちに、その深くにあるマインドに触れる時間も断然増え、そのマインドを体現する仲間たちと触れ合っていくことで、生きていく上でより大事なものに気付かせてくれる。TOCfEのコミュニティはそんな場です。

要は仲間たちに巻き込まれてナンボです。

これからも巻き込まれていくし、いっちょ噛みしていきつつも、さらにもっと外の世界を覗いては、このコミュニティに還元していきたいと思います。

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【告知】
こんな感じでTOCfE利用してますよーって紹介し合うイベントが、12月19日(土)、非日常なスペースで開催されます。

【東京開催】日常系非日常TOCfE ~日常の中でちょこっとやってみたこと言う会~
TOCfEと“合う”感覚をお持ちの方は、是非、ご参加ください。

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明日は、ゆみさんこと、吉田由美子さんです。

最近関わらせて頂くことがちょくちょくあるのですが、(略)、リードする技術もマインドも感服するばかりです。